佐藤総合計画


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社長 細田雅春メッセージ

女性の役割と発想
新社会構造構築の武器に 国家レベル、地方再生にも生かすべき

 いま日本は、縮小したデフレ経済から、インフレへの出口に向かって、株価上昇など明るい兆しを生み出しつつある。しかしながら労働者の賃金環境は依然低迷、物価上昇に加え、労働力不足、生産拠点の海外移転による国内生産力の低下など実態とのギャップがますます広がりつつある。すでに世界でも類のない成熟社会を迎え、日本は、社会的構造や産業構造の変化をどのように捉え、どの方向に導こうとしているのか、国民の理解も政治の姿もきわめて不安定としかいえない。

−現状からの脱却

 この不安定さを決定づけているのは、グローバル社会における日本の姿であり、その立ち位置であろう。その中心にあるのは何といっても人口問題であることは、大方の識者が指摘しているところである。最近も、国土交通省から衝撃的な試算が発表された。2050年には、現在、日本で人が住んでいる地域の98%で人口が減り、そのうちの4割以上の地域で人口は半減、そして2割の地域ではなんと居住者がいなくなるというのだ。しかしながら、こうした深刻な領域にまで達しつつある日本の少子高齢化に対し、社会構造の変革に迫るビジョンがまったく示されていないことが、不安定な状況に拍車をかけている状況ではないのか。

  そうした人口問題を通しての議論を列挙してみる。

  1. 人口減少による日本の社会経済力の縮小への懸念。
  2. 人口減少を新しい形の社会経済の形を生み出す契機と捉え、大量生産、大量消費経済の終焉を図る。
  3. 高齢者のパワーを積極的に有効活用し、労働力不足を補う(しかし、その老人人口も2040年にはピークを迎え、その後は減少の一途をたどる)。
  4. 若年労働者は雇用を求めて大都市(東京)に移動し、地方の人口減少には歯止めが利かなくなる。
  5. 統計学による人口予測によれば22世紀には、日本の人口は4000万人台になり、江戸時代の人口に近づく。
  6. 女性の労働力活用のために、女性が働きやすい環境整備を図り、社会的支援を強化する。
  7. 海外からの労働者の流入を移民政策と合わせて積極化させる(グローバル化によって、相対的に世界の技術と労働賃金の底上げが進行し、市場のあり方が過去とは大きく変貌しつつあることを想起せよ)。
  8. 短期的には、生産労働年齢を拡張し、その間に、産業構造の転換、再生を図る。
  9. 生産労働力の棲み分けを図り、グローバル社会に積極的に対応させる。
  10. 地球規模での人口バランスを図り、日本は日本の役割として、地球規模でのエネルギーと資源の再分配を目指す。

  多くの議論が飛び交っているが、抜本的な変革を期待できる未来を描くことができる議論はあるだろうか。これらの議論には、日本の人口減少の問題が、どれほど日本の国力を削ぐのかという観点が欠けている。単に労働力の不足や社会負担の増大問題などではないのだ。

  少子化の原因である出生率の低下についても、まずは当面の生産力の拡大を重要視すべきだという議論が、現在大半を占めている。しかしそれだけで良いのだろうか。冒頭で述べたように、日本の産業構造は大きな変化の局面を迎えていることは誰もが理解している。しかし実際には、根本的発想において、何を変えることが大切なのかが具体的に示されてはいない。

−新たな発想の起爆剤

 筆者は、抜本的な変革の礎として、女性の社会進出を男性と同様、あるいはそれ以上に前面に打ち出すべきだと考えている。女性男性を問わず、すべての元気な人間が、それ相応の居場所(社会的進出)を確保できる環境を早急に整備すべきだ。とりわけ、女性には男性とは異なる思考力、発想力に期待して、まったく新たな視点から国の社会経済の構造的転換を図ろうというものである。男女半々の社会市場という構図であり、今までとは異なる文化や社会を描いた新しい社会の意思決定の構図を描こうというものである。たとえば、最近の女性起業家の活躍はどうだろうか。男性にはないまったく新しい発想と継続的努力による目覚しい成果には驚かされる。女性の管理職についても、2020年までに指導的地位の30%を女性にするという政府の目標に呼応するように、経団連も女性の管理職登用を促進するという動きも出てきた。しかし、筆者の考えは単に労働市場の不足分を女性によって補強しようというものとは根本的に異なる。世界的に見ても女性の社会進出が遅れている日本から、大胆な提案を試み、新しい発想のもとに世界をリードするほどの「社会の変革の構図」を示すことである。

 しかし、そのモデルを本当に成し得るためには、地方都市の再生に焦点を当て、日本の再生の本丸に迫ることが大切である。衰退する地方都市にこそ、若い女性、男性に定着してもらう必要がある。地方で子供を産み、子供と共に生き社会活動を促す、次世代へ向けた社会構造の創造を生み出すというものである。子育ても新たな産業の一つであるという視点からこれまでにない社会環境を構築し、全く新しい発想と構図から、日本の社会に「新しい価値の文脈」を生み出そうというものである。

−地方再生と価値創出

  筆者はすでに女性の社会進出のための環境整備について述べてきたが、今回の提案は、そうした短期的、継続的な提案ではない。子供を産み、社会とつなぎ、従来の男女の構造的枠組みを変える大胆な社会経済の構図を新たにもたらそうというものだ。その過程において新たな発想が芽生えることに期待をしている。そのためには、国家的なレベルでの新たなビジョンの提示の中に、女性自身の自覚と覚醒を求めることはもちろん、そうした環境を受け入れる社会的合意形成が必要となる。そしてそのために、いま何をすべきか。その具体的行動の枠組みを決めなくてはならない。

  もちろん、女性の登場だけにすべてを賭けている訳ではない。筆者の提起したいのは、発想の新しい視点と柔軟性のある構造改革である。そのモデルの具体的場所として、地域社会に焦点を当てて、さまざまな規制緩和や税制および社会保障制度の抜本的改革、地方の再生産業プログラムのビジョン作りが必要になる。そして、最終的には急激な人口の減少に歯止めをかけ、新しい日本の社会構造のモデルを構築するための、女性の役割と発想を一つの武器にするべきだという提案である。

  その結果、グローバル社会における変わりつつある日本の位置を世界に発信して、日本が自らも新たな姿へと変身する道筋を構築することである。

日建建設通信新聞 2014年4月3日掲載



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