投稿年
2012

社長 細田雅春より

弊社代表取締役社長・細田雅春の取材記事や発表した文章などを随時掲載しております。

設計事務所トップの視線2012 環境・快適とBIMで新たな切り口

新しい組織力生み出し続ける

-この1年を振り返って。

「東日本大震災は科学技術や安全に対する考えを再認識する機会となった。建築や都市の問題にとどまらず、個人の自覚や社会全体の問題であり、ひいては地球規模の問題として大きなテーマを与えられたと捉えている」

「日本はこれまでも災害を通して、より良いものを整備してきた。今回も東北だけにとどまらず、日本の地勢的な構造や、成長産業と農林水産業のあり方なども踏まえ、日本の国土開発を抜本的に見直さなくてはいけない。日本全土で災害が起こる可能性があることを前提に、国が夢を描くことのできる国土計画を示さなくては本当の復興はできない」

-経営への影響は。

「民間プロジェクトで中止や延期があるものの、全体的に仕事量は減っていない。官のプロジェクトは受注競争が一段と激化しており、勝ち抜くための対策を講じていきたい。現在の組織力260人体制を堅持し、売上高で50億から60億円を当面の目標としている」

-12年の重点施策は。

「建築物の環境性能(エコロジカル)と快適性(アメニティー)を併せて評価する『エコアメニティー環境評価システム』と、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を連動させた新たな切り口の設計活動を展開する。また川上分野への開発提案の発信力の強化は避けられない課題だ。シーズ型(建築を通した社会貢献)の提案を通して隠れた需要を積極的に掘り起こしていくのも組織設計事務所の役割だ」

-海外事業の展望は。

「今年、中国事業は正念場だ。欧州発の経済不信の影響が中国にも波及しており、中国国内も都市と農村部のひずみや拡大が広がっている。大きな市場と考えていたが、このまま推移するとは思えない。市場をきちんと見定める必要があり、一つの転換点になるだろう」

「中国の設計院は学習し成長しており、日本の設計事務所の役割が少しずつ変わり始めている。日本人にできて、中国人にできないことを常に考え、協力関係を築きながらわれわれの役割を果たしていきたい。これまで通り積極姿勢に変わりはない。ただ主要都市の大型案件だけでなく、地方都市のプロジェクトや民間開発などにもアプローチしていく」

-現在の課題は。

「『十分に考える時間の確保』と『経営の効率化』をどう両立させるかだ。質を向上させながら、設計料とマンパワーをバランスさせるという設計組織にとって永遠のテーマに正面から向き合っていきたい」

「10年度から実践する『クロス・ブリード(雑種)組織論』をさらに進化させる。人が財産である設計事務所として多様性を飲み込みながら、組織としての規律と効率を機能させたい。新しい組織力をどう生み出していくか、常に格闘しており、これからも続けていく」。

 

日刊建設工業新聞 2012年1月19日掲載